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ファンダメンタルズ解説<為替介入の非不胎化とは> 



 







久しぶりのメディテーション(つぶやき)記事です。


"このタイミングでかよぉ~。。" という声も多く聞かれましたが。

きょうの午前に政府・日銀の円売り/ドル買いの為替介入が行われました。

代表選の翌日というこのタイミングでの実施に
「素早い」という反応と、為替介入という意味では「遅すぎる」という反応と、
さまざまな反応が出ているようですね。


さて、83円ラインを切り込んだのをトリガーに
いよいよこの為替介入というパンドラの箱を開けたわけですが、

今後これからよく耳にすることになるだろう「不胎化」「非不胎化」という
言葉について勉強しておこうかと思います。


まずは「為替介入」について
ある程度は わかっていることが前提になってきますので、

以下の過去記事は読んでもらえているものとしてすすめます。

『ファンダメンタルズ解説<為替介入>』
http://dayaftertrade.blog45.fc2.com/blog-entry-291.html

またより詳細な為替介入についての内容は
日銀にもちゃんとした紹介ページがありますので、
そちらを見てもらえるといいかもしれません。

『日本銀行における外国為替市場介入事務の概要』
http://www.boj.or.jp/type/exp/seisaku/expkainyu.htm


では、さっそくまずは結論からいきましょう。

為替介入の「不胎化」とは、

為替介入によって中央銀行から流れ出ていった資金を回収して
もとのサヤに戻すこと、をいいます。

格好良く言うと、為替介入によって供給されたベース・マネーを
短期国債などの売却によって吸収するオペレーションである。

ということになります。


ちょっと難しい表現ですが、

今回の場合は、円高阻止を目的とした為替介入でしたので、
「円売り/ドル買い」の為替介入が行われたわけですが、

為替介入とは、通常、3ヶ月ものの政府短期証券(FB)の一種である
「外国為替資金証券」を財務省が発行し、
市場で売却または日銀が引き受け、資金となる円を調達し、
円高時にはその円資金でドルを買うという、
円売り/ドル買いの介入が行われます。

(ちなみに円安時の円買い/ドル売りの介入の場合には
 積みあがったドル資金を売り払って円を買うことになります)

そうすると中央銀行が売った円はそのぶん市場に出て行って
手元にドルが残ります。

日本は介入したことで得たドルで米国債を購入し保有します。

出て行った円は、手元に戻すために中央銀行は
手持ちの短期国債や有価証券を売って、かわりに現金を得ます。

そのようにして売り払った円を市場から回収することを
「不胎化」と言います。

「非不胎化」という言葉は「不胎化」しないということですから
日銀は吐き出した資金を回収しない、という意味になります。

通常ならインフレの心配をすべきところですが、
このデフレ・スパイラルを脱却するのにもちょうど良い、と
そんなところなのでしょうかね。


通貨供給量を操作するには、
金融市場での売買にて操作する「公開市場操作」と、
日銀当座預金の準備率を操作する「預金準備率操作」という
2つの方法があります。

不胎化には、中央銀行は「公開市場操作」と呼ばれる
オペレーションを選択します。

「買いオペ」(買いオペレーション)
金融機関の保有する有価証券などを購入し市場へ流れる資金を供給する。
資金量が多くなると金融機関の貸出にまわる資金量も増えることになり、
金融緩和と同じような効果となる。

「売りオペ」(売りオペレーション)
日本銀行が保有する有価証券などを売却し金融市場から資金を吸い上げる。
資金量が少なくなると金融機関の貸出にまわる資金量も減ることになり、
金融引き締めと同じような効果となる。


もうひとつの「預金準備率操作」というものは、

一般の金融機関は、準備預金制度にもとづいて預金の払い出しに備えて、
一定割合(預金準備率)を日銀に無利子で預け入れることになっており、
日銀がこの預金準備率を操作することで金融機関が貸し出しへと回せる
通貨量を調節することを預金準備率操作と呼びます。



金融、経済とは難しいもので、
為替レートや通貨量、金利、国債、GDP、成長率、失業率など、
様々なものがメビウスの輪のように相互に絡み合っているわけで
日本においても前回の為替介入の頃、2003年~2004年にかけて
30兆円以上の介入が行われました。(当時の一般会計は47兆円)

その原資は先に出てきたFB債ですが、
前回、為替介入が途切れた2004年3月時点でのFB債の発行残高は
85兆円ほどであったのが今年度2010年度末の見込みでは145兆円。

『平成22年度末(見込)の国債・借入金残高の種類別内訳』財務省
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/siryou/zandaka02.pdf


その間、介入は行われていなかったのに、ナゼか。

どういうことかと言えば、
これまでの日本の為替介入は円高対策であったことから
円売り/ドル買いの介入であった。

つまり手元には大量の現金のドルが入ってくるのだが
外国為替特別会計に保有されるのはそのドルで買った米国債。

国債には金利がつくので運用益が入ってくることになり、
その運用益は外為特会に計上しなければならないのですが
財政法上、歳入・歳出は日本円の現金で計上することとなっているため
運用益を入ってきたドルでそのまま計上することはできません。

ドルを売って円に替えようとしても、せっかく円売り/ドル買いで
介入したのにドルを売って円を買うわけにはいかない。


そんなことで運用益分のFB債を発行して、それを売却し、
取得した円でもって歳入として計上することになります。

つまりドルでの運用益に相当する分の借金をして
円のキャッシュとして特別会計に入れているワケです。

すなわちこの運用益は外為特会にあるドル資金(米国債)と
FB債という国債の残高という形で両膨らみになってしまいます。

この6年間に為替介入はなかったので残高の差額60兆円からみると
年間で平均10兆円の運用益が出ていることになりますね。

FB債の残高が増える原因はここにある、というワケです。

(ちなみにFB債は3ヶ月ものと書きましたが
  もちろん財務省お得意のごまかしで
  FB債の借換えが繰り返し続けられています)


つまり、円高対策でドルを買うと、
米国債の代金というカタチで米国に資金提供が行われ、
日本には売るに売れない米国債と、FB債という借金が残る。

冒頭で「パンドラの箱」と表したのはこのこと。

つまり円高にすれば日本は金を出す、という意思表示をしてしまった。

そういうことになっている、ということですね。


もっとも、ドルの価値が下落した今そんなことをすれば
昔に買った米国債の膨大な損失が確定してしまうということも
あるのかもしれませんが。


以下は2003~2004年の間に30兆円以上の為替介入が実施された頃の
小泉政権時代に出されたあるコラムになります。

こんなことがいまから行われないように、願いを込めて。。
参考までに掲載しておきたいと思います。

『巨額の為替介入でアメリカ経済を支える日本政府は
 なぜその金を自国の庶民のために使わないのか』
http://www.carlos.or.tv/today_jp/NWJ_20040211.pdf



では。今回はこの辺で。


『皆の英知を結集して』

ともにがんばってまいりましょう!


では。また。


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コメント

>kasiさん

こんにちは♪

遅くなってしまいました^^スミマセン

そうですよネw
15分足は思いのほかしっかり機能しているようです♪(笑

予想通り雲抜けでいったんは売りで獲れましたが
後はやはりレンジになってますね~^^;

財務大臣は引き続き野田さんのようですので
この介入が効いたとみて、この後はまた"見守る"姿勢に
戻るのではないかなぁ~とも思いますw

まわりからは「やれ!」と言われ続けるでしょうから
正念場は続きそうですよね^^;

>Seeyaさん

こんにちわ。

おっしゃるとおり、15分足の雲がいい感じです^^

Methodはしっかり機能しています。

この為替介入ってのは、いつあるかわからず、
先日と同様の介入であれば、インパクト的に不定期発表の雇用統計って感じでしょか^^;

ただ、方向が円売りであるというのはハッキリしているので、
そうであれば、円ショートで入ればいいだけですし?(甘いか^^;

あれはサプライズを狙ったもので、今後は小出しにしてくるのであれば、
いよいよ雲が生きますね^^(現に今、小出し介入がされてるのかも^^)

いずれにせよ、試行錯誤です。。

>kasiさん

こんにちは^^

まさにおっしゃる通りですね~♪
日本人の悪いクセか「自分はこうあるべき」という
強い意志に欠けるところがこの国にはあると思います^^

そういう意味で小沢さんに期待もしていたのですが
残念な結果でしたね~w

代表選の翌日というあまりのタイミングの良さと、米国政府の沈黙、
学べるニュースの池上さんのあまりの準備の周到さから(笑
この為替介入は米国がサポートする菅政権-自民党への
ご祝儀相場だったのではないか、と読んでいます。

代表選をよくがんばったから
人気取りのための為替介入も今回は許してあげようw みたいな^^

グリーンスパンからも "どうせ長続きはしない" と
言われてしまってますね。。。^^;
その通りかもしれませんw

介入によってチャートはグチャグチャになってしまいましたが(笑
非常に大きなレンジでみれば、
1分足での10pips程度の急な動きと同じレベルかもしれませんw

少なくとも5分足、1分足は機能しなくなっていますが、
確認する限りでは最下位の時間足には15分足で動いてる感じですネ♪
Methodをみるとラインや雲の上限、センター、下限が
キレイに効いてるのがわかります^^

15分足の雲を下抜けしてくれば、
売りで、ある程度はイケるとは思いますよwナンチャッテ

Methodはいまもしっかり機能しております^^ハイ☆

がんばってまいりましょう☆

こんにちわ

介入きましたね。

日本国内では評価が高いようですが、案の定、欧米からは批判的な発言で出て気入るようです。

尖閣の問題もそうですが、1国の国益を守ろうとしれば、外国と軋轢が生じるの当たり前のことで、日本は国際社会の批判を気にしすぎに思えます。
むろん、無視する訳ではなく、受け止めつつ、我を通してほしいものです。
そして、それを担保するための防衛の自立や、エネルギー及び食料自給率の向上に取り組んでほしいものです。

さて、それは政治家の方々にまかせるとして、我々の問題ですね。
FXが普及して初めての為替介入となると思うのですが、この歪められた相場は、これまでの相場とは違う訳で、これまで使えたインジケーターが使えるかどうかも要確認ですね。
そして米国経済の弱さから来ているドル安圧力は存在しているわけで、この介入の効果がいつまでも続くかは、わからないです。
難しいですね><

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